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2020年 02月 06日 ( 1 )

 

質問コーナー Part 2

質問コーナー Part 2

このコーナーでは、これまで患者様からの質問や疑問が多かったものについてお答えしたいと思っております。

2回目となる今回は、「歯肉のマッサージについて」です。

ブラッシング指導を行なっていますと、アドバイスを繰り返していても歯の表面に歯ブラシの毛を上手く当てられない患者さんをしばしば見受けます。

原因を探ってみると、これまでの歯医者での指導で「歯ぐきをマッサージするように行なってみて下さい」と言われ、それが習慣化してしまっている為に、頭で理解していても、なかなか変えられない。

そして「歯ぐきを擦らないと磨けている感覚がしない」と訴える患者様が少なくないのが現状です。

逆にいうと、この【こすっている感覚】を得る為にはどうしても大きな動きになってしまい、肝心な場所へ歯ブラシの毛が当てられなくなってしまっています。

では、少しずつ整理していきましょう。

【歯ぐき(歯肉)のマッサージ】ときいて、違和感や疑問を持つ日本人は少ないのですが、欧米では通用しない言葉です。

そもそも【マッサージ(massage )】とは、筋肉(muscle:マッスル)が語源であり、筋肉組織に対して行う行為です。歯肉は、肉とは言っても筋肉組織は存在しません。結合組織から成っていますので、【歯肉にマッサージ】という言葉自体、とてもナンセンスな表現なのです。

次に、「本当に歯ぐきに歯ブラシを当てなくて大丈夫なのか?歯ぐきの表面にバイ菌はいないのか?」についてお答えします。

歯ぐきの表面にもバイ菌(細菌)は存在します。しかし、病気(歯周病)にはなりにくいです。何故なら、そこに存在しているバイ菌には病気を惹き起こすだけの時間がないからです。飲食や唾液の流れなどでほとんど流されてしまう他、歯ぐきの表面の上皮組織も生まれ変わる為、表面に付着する細菌と共に剥がれ落ちています。

歯の表面は剥がれ落ちないため、バイ菌が長く定着してしまいます。歯ブラシや専用の器具で機械的に除去しなければ、バイ菌達は居心地の良い環境を自ら作り、長居してしまうわけです。

それでも何となく歯ぐきに適度な刺激を与える事で、血流を良くするという効果は期待出来そうな感じもするのではないでしょうか?

これについてはBonfilらの研究があります。皆さんにもわかりやすく説明すると、3週間、歯ブラシをやめてもらった患者さんの上の歯を、右側と左側に分けて、右側半分には歯肉に刺激を与えないように1日2回、歯の表面の汚れだけを慎重に除去し、左側半分には1日2回、歯ブラシ等で歯ぐきに機械的刺激を与えて汚れを除去しました。

それを30日間継続した結果は...


歯肉炎スコア(歯ぐきの炎症)の改善程度に、右側(非刺激側)と左側(刺激側)で差がありませんでした。


Bonfilらは「歯肉の刺激そのものに臨床的有益性はない」と結論付けたのです。

その他の研究結果を見ても歯肉の血流の循環に多少の改善はみられるものの、臨床的に意義のあるような所見はほとんど得られていません。

したがって、【歯ぐきをマッサージする】効果はほとんど期待出来ないといえます。

それどころか僕は、歯ぐきをこするように磨くやり方にはデメリットの方が多いとさえ感じています。その一つに知覚過敏があるのですが、知覚過敏についてはまた次の機会にご説明できればと思います。

本日はここまで。

では、また明日!
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by tsukidate-dc | 2020-02-06 12:45 | Dr.勇樹 | Comments(0)