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歯周検査は危険?

歯周検査を行わない先生の正当な理由を考えてみました。

先日、メインテナンスで検査が行われていなかった患者様について僕の見解を述べました。

実は有名な偉い先生の中にも、従来の歯周検査に対して批判的な方はおられます。

主な理由はプローブ(検査器具)による口腔細菌の伝播です。
※伝播と感染は違います

この理論がしばしば検査を行わない先生方の正当な理由として語られる事があります。

理論として半分は合っていると思います。

ただ臨床で大切なのは、それによりどれだけの悪影響があるのか?検査を行わない事で生じるリスクを上回るものなのか?これらを検証した文献を精査する必要が出てくるわけです。

まずは、プローブ(検査器具)への細菌の付着について、どれくらい細菌の付着がみられ、付着した細菌は生体に影響を与えるのか、またプローブの種類によっても差が生じるのか?を調べます。

Papaiannou.et.al(1996)による、目盛の溝が深いものと平滑なものでプローブの先端の汚染を比較した研究があります。この検証によると、それぞれの比較で差はあるものの、プローブに細菌が付着するということは証明されました。後にHoltら(2004)も同様の結果を報告しています。

次にプローブに付着した細菌が他の部位に伝播された後、定着し感染を惹き起こすかどうかを検証します。

Christersson.et.al(1985)
Transmission and colonization of Actinobacillus Actinomycetemcomitans in localized juvenile perio-dontitis patients 
#A.aの呼び名も若年性という用語も死語だが、懐かしい
#この研究はRCT(ランダム化比較研究試験)です

この研究ではA.a(主に深い歯周ポケットに生息)が検出された歯周ポケットにプローブを挿入した後、健康な歯周ポケット(PPD3mm以下)に挿入後、計測しています。

1週間後に健康な歯周ポケットからA.aが検出され伝播が起こった事は確認されました。

しかし、3週間後以降には検出されなくなったと報告されました。つまり、口腔細菌の伝播は起こったものの、細菌が定着し感染が成立しなかった事を示したのです。
#これが伝播と感染の違い

結論を申しますと、検査時にプローブに付着した細菌が他のポケットに伝播したとしても、そこで定着し感染を成立させる事は考えにくいという事です。

今回の研究ではA.aだけがターゲットなので、他の細菌での結果に心残りはあるものの、明らかに肉眼で確認できるプローブの汚れをアルコールワッテ等で払拭さえすれば警戒するような事では無さそうです。

そもそも、当院では診断の為にSPT(歯周サポート治療)では毎回検査を行っているわけで、検査のたびにプローブが原因で感染が広がっているとしたら悪化する患者様しかいなくなります。

これまでの多くの歯周病に関する研究や当院での経験からもプローブを用いた歯周検査が原因で歯周病が悪化するとは到底考えられません。

という事で、歯周検査をするとプローブに付着した細菌によって他の部位に感染を起こす(悪化させる)から検査は逆に危険だ!

は間違いであり、検査を行わない正当な理由にはならなそうです。

by tsukidate-dc | 2022-02-01 23:11 | Dr.勇樹 | Trackback | Comments(0)  

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