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所詮は人工物という捉え方

「そろそろ歯医者さんらしい記事でも書こうかな」


はじめてですが、義歯(入れ歯)についてお話してみようと思います。

補綴(被せ物や入れ歯)を専門としている先生には怒られちゃうかも知れませんが、くれぐれも補綴を否定するものではないという事だけは前置きさせていただきます。

最初に言ってしまうと

「僕の入れ歯治療は超適当!」

ということです。

補綴を真剣に勉強している先生方、ごめんなさい。

でもきっと僕はこの先も、『適当』を貫く事でしょう。

何故ならそれが患者さんにとって最も優しい治療だと信じてしまっているからです。

僕は長年歯周病の治療に没頭していたので、歯を残す事に全ての労力を捧げてきました。それは今も変わりません。

また、ご自身の歯が残っている患者さん全てに対して、治療のゴールを『入れ歯を入れない口腔環境を維持する』に設定しています。

そもそも、入れ歯を歯の代用として認めていないのだと思います。

とはいえです。既に入れ歯が入っている方や、どうしても入れ歯を入れなければ食べられない方もいるのは現実です。

当然、毎日のように入れ歯の治療もしております。

ただ、そこには学校で習ったような学術的背景や理論はほとんど反映してません。

所詮は作り物で人工物でしかなく、材料学として基本的な知識だけおさえているのみです。

どこかで逃げている部分もあるのだと思います。凄く難しいので、深く入り込むと出て来れない気がして、、、


僕は凄く単純に考えています。対象物はあくまでも生体ではなく材料(プラスチックや金属)であるという事。ですから削るのも足すのもプレッシャーがほとんどありません。要は足し算と引き算です。

あとは患者さんの使い心地と塩梅が全てです。

そうなんです。

つまりここでの『適当』とは適度に良い状態を追求する事であって、『いい加減』とは『良い加減』を意味します。

その際、習ってきた学術的背景っていうのはあまり反映されていないんですね。


歯周病学で学んだような生物学やEBMも、全く意識せず、ひたすら「今患者さんのお困りの原因はどこにあってどこで足し算、引き算をすれば良いのか?」をひたすら考えて試行錯誤します。


お困りの状態で来院されたら、とにかくお帰りの際にはお困りのない状態でお帰りいただく事に最も重点を置くと言う事です。

これを約20年続けてきました。

幸い歯周病の治療に終わりがない為、メインテナンスでは入れ歯の不具合があればその都度調整するのですが、実際はほとんど問題なくお使いいただけています。

これは、通院中の患者さんやスタッフ達も大きく頷くところだと思います。


《ほとんどの割合》についてはまた別の機会にお話します。

入れっぱなし、やりっぱなしではないので、自分の調整に不備があれば、容赦なく次回来院時に自分に返ってくるのです。

補綴の勉強は必要なかったと言ってしまうと角が立ってしまいますので避けなければならないのですが、補綴に対する僕の知識不足はまぎれもない事実です。


にもかかわらず、最近は「入れ歯治療の評判を聞いて来ました」や「何軒もの歯医者に行ったけど治らない。それならと友人から当院の事を聞いて来ました」というお新患さんの言葉を頂くことが増えたように感じます。

今回このブログで言いたかった事は、

僕は決して入れ歯治療は得意じゃないということ。

補綴に限って言えば、学術的背景や根拠に従わなくても、患者さんの塩梅(生体反応)に素直に合わせると、それなりに問題なく経過しているということ。


簡単に歯を抜いて早い段階で入れ歯を入れた事によって犠牲になる歯があるということ。

以上の事から、入れ歯を入れなくて済むための治療に全ての労力を注ぐということに変わりはなさそうです。

因みにですが、僕は普段平気で患者さんに

「入れ歯でまともに食事するなんて無理があるので食べる時に邪魔であれば外して食べて下さい」

なんて言ったりします。驚かれます。

その際、あなたの口に入れる入れ歯は噛むためを目的としていないのです。(※総入れ歯はまた別のお話)

いやぁ、怒られちゃうな(^^)



















by tsukidate-dc | 2020-05-31 18:16 | Dr.勇樹 | Trackback | Comments(0)  

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