おばんでこざいます。
皆様はこの数年、日本の歯医者が悲鳴を上げているのをご存知でしょうか?
いわゆる逆ザヤ問題です。材料となる金属の高騰、それにまったく見合わない保険点数。そのマイナスは歯科医院が持ち出しているのが現状です。
要するに治療すればする程赤字になるという事です。
歯科用金属でお馴染みのパラジウム。金パラはご存知の方でも、パラジウムが他にどのように利用されているかについては知らない方も多いと思います。
パラジウムは金やプラチナと同じ貴金属で、元素記号はpd。プラチナと同じ白金族元素の一つです。融点が1500度と低く加工のしやすさから、他金属との合金も容易なことから自動車用触媒や宝飾品合金、歯科用合金など幅広く利用されています。
一般的には、歯科医院で使用される銀歯の素材として金銀パラジウム合金が知られていますが、実はジュエリーの素材としても人気があります。
供給はほぼロシアに依存している状態で、需要の半分以上を北米と日本で占めています。パラジウムは歯科金属としてどのように利用されてるか?
主に詰め物やかぶせ物として使われます。「パラ」「金パラ」と呼ばれたりもしますが、正式には歯科鋳造用12%金銀パラジウム合金と呼ばれています。
成分としては、金12%、パラジウム20%、銀50%前後、銅15%前後とその他が数%含まれています。
日本の歯科医療では今日も当たり前のように使用されている金属ですが、パラジウムは金属アレルギーの原因のひとつとされています。金属アレルギーは汗や体液に溶けてイオン化した金属が人体の中のたんぱく質と結合し、アレルギー物質となって異常な免疫反応が起きることで発症します。ドイツなどの医療先進国では、パラジウムが、体に与える悪影響を考慮して、パラジウムフリーの金属を推奨しています。
ちなみに今日現在、歯科用パラジウム合金は30㌘¥83500税別ですが、10年前は¥12200でした。
これまで人類が採掘してきた金の総量は約18万t。これは、公式競技用プールの約3.8杯分の量に値します。さらに地中の埋蔵量は、約5万tと考えられています。同じように競技用プールに換算すると約1杯分しかない計算になります。現在は、年間約3000tのペースで採掘さるているため、このままだと10年後には枯渇してしまうことになりますね。
しかし金の埋蔵量とは、単純に地中に残っている金の量ではなく、現在の技術や経済状況で掘りだし得る量を指します。つまり、今の技術では採掘できない金の採掘量に対してコストが見合わない金量は、資源量とは呼べますが埋蔵量とは呼べないため、上述した埋蔵量には含まれていないとうことです。
例えば、海水にも非常に薄い濃度ではありますが金が含まれています。薄い濃度とはいえ、地球上の海水すべての量で考えますと、およそ50億tもの金が海水から抽出できる計算になるのです。理論上は海水から抽出することは可能と言われているため、今後さらに金の価値が上がり技術革新が進めば、海水から金を取る時代が来るのかもしれません。
世界年間金産出量は3000tで、一位は中国の440t、二位はオーストラリアの300t。
金はその不変性から、掘り出された分だけ地上在庫量が増えていきます。たとえ地中に埋蔵している金が枯渇したとしても、石油や石炭と違って金自体が地球上からなくなることはないのです。実は現在、年間需要のうち約1/3量が市場からのリサイクルによってまかなわれているのです。1tの金鉱石から採取できる金量はわずか5㌘ほどなのに対し、携帯電話1tから150㌘もの金が回収できるといいます。日本には、家電リサイクル(都市鉱山)の中に6800tもの金が埋蔵量としてあると考えられています。全世界の16%もの金が日本にあるというのだから驚きです。
今日現在の1㌘あたりの金の価格は、¥6310ですが、20年前は¥1140でした。パラジウム1㌘あたりの価格は、¥11176ですが、20年前は¥1880でした。
現在パラジウムは金よりも高く、年々高騰して20年で何倍にも跳ね上がっています。
長い目で見ても下がる気配は今のところありません。
新型コロナウィルスによる医療崩壊も心配ですが、このままでは日本の歯科医療も崩壊しかねません。