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質問コーナー Part3.3

今回は電動歯ブラシ使用に対する僕の個人的な見解を述べて、このテーマを終えたいと思います。


システマティックレビューでの結果と、前回ご紹介した論文の違いはなんといっても期間です。短期間での結果では電動歯ブラシの有益性が確認されましたが、長期的研究の結果では差がありませんでした。

短期間での高い効果を示した理由は恐らく電動歯ブラシという新しい器具でのブラッシングに対する高い興味によるものではないかと思われます。やがて興味は薄れますが、前回の研究では半年に一度の歯周サポート治療で繰り返し口腔衛生指導を受けた為、長期間でもモチベーションが維持され、結果として治療後に悪化する事なく維持または改善を示したのではないでしょうか。

結局のところ、歯周サポート治療において口腔衛生状況を維持する為には何を使用するのかよりも、いかにモチベーションを維持するかの方が重要だと考えます。

手用歯ブラシで上手く磨けている患者さんに、わざわざ電動歯ブラシを推奨する事はありませんし、電動歯ブラシで口腔衛生状況が悪くない患者さんに手用歯ブラシに変えるよう推奨する事もありません。強いて言うなら特別な状況(ケガや病気等)で口腔衛生状況が明らかに悪化傾向を示す場合に、ひとつの選択肢としてご案内差し上げる事はあります。

このままこのテーマを終えてしまうと、音波式電動歯ブラシは効果がないように思われてしまうかも知れませんが、そんな事はありません。あくまでも一般的に言えるのは...という事であり、使用する人の好みや使い勝手の問題もありますし、長期的使用での歯質へのダメージは別問題になります。

つまるところ、歯科医師や歯科衛生士が担当する患者さんの様々な環境や状況を鑑みて、総合的に判断するのが賢明かと思います。

電動歯ブラシについては以上でーす。

ではまた明日!
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by tsukidate-dc | 2020-02-27 22:36 | Dr.勇樹 | Trackback | Comments(0)  

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