45年前のパラダイムシフト
約45年前、スウェーデンの歯科医療は大きく変わった。
1970年代のスウェーデンでは、現在の日本と同じように、患者さんの口の中には沢山の被せ物や詰め物が存在し、高齢者は歯の数が少なく入れ歯を装着している人がほとんどだった。
それから45年を経過した現在は、ほんのわずかな治療の痕跡しか見られなくなったのだ。
つまり、45年間で歯科治療(削る、神経を取る、抜く等)を受けていない人が増えたという事だ。
この事は成人(40〜50歳)を対象とした、歯の神経を抜いた歯が何本あるかという調査結果を見ると明らかである。
スウェーデン人で歯の神経の治療を受けた歯は一人当たり1.6本。対して日本では16本だった。
歯周病の治療を受けた痕跡はあっても、入れ歯やブリッジのような機能障害に対して行う回復治療はほとんど見られなくなったのだ。
もし、ブリッジやインプラントなどの治療を受けた人がいても「いつごろ治療しましたか?」と質問すると、大抵は「20年〜30年前です」と答えるという。
現在の20代から30代の若い年齢層では、ほとんどの歯に治療の痕跡がないというのだから驚きだ。
お口の中の病気で代表的な歯周病と虫歯は、細菌によって引き起こされる病気であることはすでに明らかになっている。
スウェーデンでは、この細菌を定期的に取り除く事で病気が起こりにくくなるという実証により「プラークコントロール」という言葉が生まれ、予防体制が確立された。
これが、スウェーデン人の口腔状況が向上した理由である。
虫歯に関しては、プラークコントロールそのものそのものよりもフッ素の上手な活用法と正しい食習慣の重要性が示されている。
歯周病に関してはわずかな比率だが歯周病になりやすい遺伝子が存在する事も解明されている。しかし、このような遺伝子を持っていても、定期検診を継続する事で、そのリスクを早期に発見し、歯周病の進行を停止、あるいは遅延させる事が可能となる。
まさかと思うでしょうが、これほどまでに差がつけられ、日本は遅れているのでござりまする。
by tsukidate-dc | 2020-01-27 22:30 | 歯科関連 | Trackback | Comments(0)